青い瞳のウエスタン(池戸裕子) ―テキサスBL小説&BLおバカアメリカ地図
先日、食いしん坊腐女子たちと美味しいものを食べていた時、一部の方から、
「テキサス特集も終わったことだし、BL的おバカ世界地図のアメリカを修正するべきですよ!」
という、大変ありがたいお言葉をいただきました。サンキュー、アヤさん。
BL的おバカ地図、約2年前に作りましたね。BL作品の舞台や登場人物たちの出身地として登場回数が多ければ多いほど、地図上で占める割合が多くなるとしたら……と妄想した、おふざけ地図です。
この時に作った地図はこれ。
≪BL的おバカ世界地図≫
※クリックすると別窓で大きく見られます
――なんだよ、アメリカはニューヨークしかないじゃん!
この頃、高尾理一さんのテキサスものをすでに読んでいたくせに、地図方面にトンチキ臭さを感じていなかったのがありありとわかりますね。ああ、あの頃のわたしは未熟だった……。
そんなわけで、アメリカだけ修正してみました。
≪BL的おバカアメリカ地図 修正版≫
※クリックすると別窓で大きく見られます
イメージとしてはこんな感じですかね。食事に同席していたほかの方から、「ボストンやシカゴが舞台のBLもあるじゃん」と言われましたが、地図上に表れるほどの数ではないので今後に期待したいところです。
――でもなぁ……BLでアメリカっていうと、なんとなく北米大陸まるっと全体のイメージのような気がするなぁ……。
とふと思って、作り直したのがこれ。
≪BL的おバカアメリカ地図 再修正版≫
※クリックすると別窓で大きく見られます
うん。こんな感じじゃないですか。
カナダがBLの舞台やキャラの出身地として登場しないわけじゃないけど、いかんせん、今のところ影が薄い。今後の状況によっては、地図上の「この辺どこだ!?」のあたりが、カナダとなるのかもしれません……。
ところで、先日、思いがけずテキサスBL作品を発見し、いそいそと読んでみた。池戸裕子さんもテキサスものを買いてらしたんだなぁ。
――って、ん? 裏表紙のあらすじには、テキサスの“テ”の字も見えない……。でも“カウボーイ”と“馬”が出てくるなら、ほぼテキサスだと思うんだけど、まさかここへきて、テキサス以外で活躍するカウボーイの登場かしら!?
「テキサス特集も終わったことだし、BL的おバカ世界地図のアメリカを修正するべきですよ!」
という、大変ありがたいお言葉をいただきました。サンキュー、アヤさん。
BL的おバカ地図、約2年前に作りましたね。BL作品の舞台や登場人物たちの出身地として登場回数が多ければ多いほど、地図上で占める割合が多くなるとしたら……と妄想した、おふざけ地図です。
この時に作った地図はこれ。
≪BL的おバカ世界地図≫
※クリックすると別窓で大きく見られます
――なんだよ、アメリカはニューヨークしかないじゃん!
この頃、高尾理一さんのテキサスものをすでに読んでいたくせに、地図方面にトンチキ臭さを感じていなかったのがありありとわかりますね。ああ、あの頃のわたしは未熟だった……。
そんなわけで、アメリカだけ修正してみました。
≪BL的おバカアメリカ地図 修正版≫
※クリックすると別窓で大きく見られます
イメージとしてはこんな感じですかね。食事に同席していたほかの方から、「ボストンやシカゴが舞台のBLもあるじゃん」と言われましたが、地図上に表れるほどの数ではないので今後に期待したいところです。
――でもなぁ……BLでアメリカっていうと、なんとなく北米大陸まるっと全体のイメージのような気がするなぁ……。
とふと思って、作り直したのがこれ。
≪BL的おバカアメリカ地図 再修正版≫
※クリックすると別窓で大きく見られます
うん。こんな感じじゃないですか。
カナダがBLの舞台やキャラの出身地として登場しないわけじゃないけど、いかんせん、今のところ影が薄い。今後の状況によっては、地図上の「この辺どこだ!?」のあたりが、カナダとなるのかもしれません……。
ところで、先日、思いがけずテキサスBL作品を発見し、いそいそと読んでみた。池戸裕子さんもテキサスものを買いてらしたんだなぁ。
――って、ん? 裏表紙のあらすじには、テキサスの“テ”の字も見えない……。でも“カウボーイ”と“馬”が出てくるなら、ほぼテキサスだと思うんだけど、まさかここへきて、テキサス以外で活躍するカウボーイの登場かしら!?
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米国の牧場でのサマースクールに参加した早瀬晶。帰国子女で日本の学校に馴染めず心を閉ざしていた彼がそこで出会ったのは、空のように青い瞳を持つクールでセクシーな本物のカウボーイ、ウィリアムだった。彼の愛馬の美しさに心を奪われた晶は、助手として作業の手伝いをするようになるが、何かと晶を子供扱いするウィルと衝突してばかり。だが、自然と触れ合い自分の感情を素直に解放するすべを覚えた晶は、ウィルの持つ優しさや頼もしさといった魅力にも気づき、心惹かれていく。しかしそんな中、ウィルの思わぬ正体が明らかになり…。 |
作品の舞台は、作中では「T州」となっていた。T州……って、TはTexasのTじゃーん!
――一応、「テネシー州」だってあるけど、T州の面積は「日本の2倍の広さ」と説明されているので、テキサスがイメージされていると考えてもいいと思う。ということで、これも勝手にテキサスBLに入れさせていただきます。
物語は、T州というかテキサスのサマースクールに参加した日本人の高校生・晶が、一頭の美しい馬・サンダーに魅せられ、サンダーに乗せてもらうために、サンダーの持ち主で青い瞳をしたカウボーイのウィルに頼み込むところから始まる。
自分の気持ちを表現するのが苦手で、そのくせとても意地っ張りな晶は、何かとウィルとぶつかってしまうのだけど、少しずつウィルに惹かれるように。
そしてとうとう、念願のサンダーへの乗馬が叶い、サマースクールの閉校式に参加した晶は、実はウィルがスクールを運営している財団の後継者、つまり大金持ちで婚約者までいると知って、しょんぼりと帰国する。
でもある日、父に連れ出されて向かった牧場で、晶はなんとウィルに再会するのだ。ウィルは晶への気持ちを抑えられず、婚約者と別れ、晶が参加したサマースクールを日本でも開くという口実でやってきたのだった。強引ね。
もちろんここで二人はめでたく結ばれる……と思ったら、ウィルは晶の腿の付け根にキスマークをつけただけで、とりあえず終了。そう、二人のその後は収録作の「恋する瞳のウエスタン」に続くのだけど……。
アメリカの大学に入学するために渡米した晶が向かった先は、ニューヨーク。なぜならウィルはニューヨーク出身だから。今でもウィルの職場と住まいがあるから。
攻め様ウィルは、カウボーイ@テキサスだけでなく、エグゼクティブ@ニューヨークだったのだ! BL頻出のアメリカのフラグ2つを押さえているとは、なんという大技! テキサス・シークに匹敵する力技っぷりだ!
UNDER THE TEXAS SKY By ANVAR - RUSSIANTEXAN c
テキサスと
New York City Flag By Dave Hamster
ニューヨーク。背景もたまたま対照的。テキサス州旗ってニューヨーク市旗に比べると単純シンプルだなぁ……
晶はアメリカでの自分の居場所を作ろうと、自分なりにボランティアに参加したり友人と遊んだりするのだが、晶を独占したいウィルは、それが気に入らない。自分との予定を断って、友人とのキャンプを選んだ晶に内緒で、そのキャンプ場に現れちゃうぐらいだもんね。
ウィルは自分の家が所有する牧場に、参加者全員を招待する一方で、こっそりと晶を連れ出し、森の中で「我慢できない」とようやくとうとう晶を抱いてしまう。晶、初めてやったシチュエーションが、いきなりアオ●ンって……ディープな初体験だな……。
晶をそばにおいておきたいがため、晶の気持ちを確かめないままに突っ走り気味に物事を強引に進めるウィルに、晶は反発する。
しかし、「誰よりも根気よく自分に向き合い、自分を守ってくれる……やっぱり好き!!!」と、ウィルへの気持ちを再確認。ウィルも改めて晶への気持ちを告白し、二人で一緒に生きて行こうと決めるのだった。
――うーん、ウィルなぁ……。確かに金持ちだと判明するまでは、テンガロンハット&ウエスタンブーツを身にまとい、鮮やかに暴れ馬をなだめて、いかにもカウボーイ然としているんだけどさ。
でも別にカウボーイが仕事なわけではないんだよね。自然を愛するゆえカウボーイの生活に惹かれている、などと本文にもあるし、実際のところは「カウボーイをリスペクトするアーバン・カウボーイ」といったところかな。
とはいえ、テキサスBLの法則(?)である、「よそ者の受けが攻めの牧場を訪れる」はしっかりと押さえてますね。受けの晶は牧場に定住はせず、攻めを追いかけてニューヨークで暮らすという、変則的なところはあるけど。ま、攻めはニューヨーカーだからね。
ウィルがセクシーで、若干、晶に対して意地が悪く、かなり強引なところもお約束。
しかし晶には、読んでいてかなりイライラさせられたよ……。頑固というか、言おうと思って言いそびれて……みたいなことが多いヒトなのね、晶。それは意地を張っていたり、内気だったり、遠慮したりといろいろ理由はあるんだけど、そんな晶の気持ちを推し量って、周りがいろいろと手を差し伸べる。そのへんに、イラッとしたのかも。
あと、読んでいて、ちょこちょこ差し挟まれる現実的な視点が興味深かった。
例えば、サマースクールでルームメイトの少年に襲われた晶をウィルが助けるのだが、それを知ったスタッフの女性が「神の教えに背くのは、人として一番してはいけないことよ」と、ルームメイトの少年を軽蔑する。保守的な南部地方での同性愛の取り扱われ方が窺えるってものです。
晶がウィルへの想いを自覚した時、そんなスタッフの言葉を思い出すと同時に、アメリカは地域や宗教などによって同性愛に対する考え方は違うんだから、ウィルが同性である自分の気持ちをどう思うかは分からない。だからウィルにバレないようにしないといけないと、思いつめる。うーむ、生々しいな。
また、ウィルは上流階級の皆さんが集まる弟の誕生パーティーで、自分は晶を愛していて生涯のパートナーに選んだと、無謀にも高らかに宣言するのだけど、それを受けての家族、特にウィルの両親の反応は芳しくない。そりゃそうだ。弟を祝うパーティーでいきなり愛の宣言をするのもどうかと思うし、上流階級なら保守的な人も多いだろうし。
こんな風に現実的な描写が盛り込まれているのに、ストーリー展開はベタすぎて呆気ないくらいだったのが、これまた興味深かったような。
ま、そんなこんなで、テキサスBLとはいえ、ちょっと変化球的な作品、といえるのではないでしょうか。
――だって、カウボーイでニューヨーカーだもんなぁ……。<しつこい
――一応、「テネシー州」だってあるけど、T州の面積は「日本の2倍の広さ」と説明されているので、テキサスがイメージされていると考えてもいいと思う。ということで、これも勝手にテキサスBLに入れさせていただきます。
物語は、T州というかテキサスのサマースクールに参加した日本人の高校生・晶が、一頭の美しい馬・サンダーに魅せられ、サンダーに乗せてもらうために、サンダーの持ち主で青い瞳をしたカウボーイのウィルに頼み込むところから始まる。
自分の気持ちを表現するのが苦手で、そのくせとても意地っ張りな晶は、何かとウィルとぶつかってしまうのだけど、少しずつウィルに惹かれるように。
そしてとうとう、念願のサンダーへの乗馬が叶い、サマースクールの閉校式に参加した晶は、実はウィルがスクールを運営している財団の後継者、つまり大金持ちで婚約者までいると知って、しょんぼりと帰国する。
でもある日、父に連れ出されて向かった牧場で、晶はなんとウィルに再会するのだ。ウィルは晶への気持ちを抑えられず、婚約者と別れ、晶が参加したサマースクールを日本でも開くという口実でやってきたのだった。強引ね。
もちろんここで二人はめでたく結ばれる……と思ったら、ウィルは晶の腿の付け根にキスマークをつけただけで、とりあえず終了。そう、二人のその後は収録作の「恋する瞳のウエスタン」に続くのだけど……。
アメリカの大学に入学するために渡米した晶が向かった先は、ニューヨーク。なぜならウィルはニューヨーク出身だから。今でもウィルの職場と住まいがあるから。
攻め様ウィルは、カウボーイ@テキサスだけでなく、エグゼクティブ@ニューヨークだったのだ! BL頻出のアメリカのフラグ2つを押さえているとは、なんという大技! テキサス・シークに匹敵する力技っぷりだ!
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ニューヨーク。背景もたまたま対照的。テキサス州旗ってニューヨーク市旗に比べると
晶はアメリカでの自分の居場所を作ろうと、自分なりにボランティアに参加したり友人と遊んだりするのだが、晶を独占したいウィルは、それが気に入らない。自分との予定を断って、友人とのキャンプを選んだ晶に内緒で、そのキャンプ場に現れちゃうぐらいだもんね。
ウィルは自分の家が所有する牧場に、参加者全員を招待する一方で、こっそりと晶を連れ出し、森の中で「我慢できない」と
晶をそばにおいておきたいがため、晶の気持ちを確かめないままに突っ走り気味に物事を強引に進めるウィルに、晶は反発する。
しかし、「誰よりも根気よく自分に向き合い、自分を守ってくれる……やっぱり好き!!!」と、ウィルへの気持ちを再確認。ウィルも改めて晶への気持ちを告白し、二人で一緒に生きて行こうと決めるのだった。
――うーん、ウィルなぁ……。確かに金持ちだと判明するまでは、テンガロンハット&ウエスタンブーツを身にまとい、鮮やかに暴れ馬をなだめて、いかにもカウボーイ然としているんだけどさ。
でも別にカウボーイが仕事なわけではないんだよね。自然を愛するゆえカウボーイの生活に惹かれている、などと本文にもあるし、実際のところは「カウボーイをリスペクトするアーバン・カウボーイ」といったところかな。
とはいえ、テキサスBLの法則(?)である、「よそ者の受けが攻めの牧場を訪れる」はしっかりと押さえてますね。受けの晶は牧場に定住はせず、攻めを追いかけてニューヨークで暮らすという、変則的なところはあるけど。ま、攻めはニューヨーカーだからね。
ウィルがセクシーで、若干、晶に対して意地が悪く、かなり強引なところもお約束。
しかし晶には、読んでいてかなりイライラさせられたよ……。頑固というか、言おうと思って言いそびれて……みたいなことが多いヒトなのね、晶。それは意地を張っていたり、内気だったり、遠慮したりといろいろ理由はあるんだけど、そんな晶の気持ちを推し量って、周りがいろいろと手を差し伸べる。そのへんに、イラッとしたのかも。
あと、読んでいて、ちょこちょこ差し挟まれる現実的な視点が興味深かった。
例えば、サマースクールでルームメイトの少年に襲われた晶をウィルが助けるのだが、それを知ったスタッフの女性が「神の教えに背くのは、人として一番してはいけないことよ」と、ルームメイトの少年を軽蔑する。保守的な南部地方での同性愛の取り扱われ方が窺えるってものです。
晶がウィルへの想いを自覚した時、そんなスタッフの言葉を思い出すと同時に、アメリカは地域や宗教などによって同性愛に対する考え方は違うんだから、ウィルが同性である自分の気持ちをどう思うかは分からない。だからウィルにバレないようにしないといけないと、思いつめる。うーむ、生々しいな。
また、ウィルは上流階級の皆さんが集まる弟の誕生パーティーで、自分は晶を愛していて生涯のパートナーに選んだと、無謀にも高らかに宣言するのだけど、それを受けての家族、特にウィルの両親の反応は芳しくない。そりゃそうだ。弟を祝うパーティーでいきなり愛の宣言をするのもどうかと思うし、上流階級なら保守的な人も多いだろうし。
こんな風に現実的な描写が盛り込まれているのに、ストーリー展開はベタすぎて呆気ないくらいだったのが、これまた興味深かったような。
ま、そんなこんなで、テキサスBLとはいえ、ちょっと変化球的な作品、といえるのではないでしょうか。
――だって、カウボーイでニューヨーカーだもんなぁ……。<しつこい